「オルゴール」発案から完成まで
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<目次>(各項目をクリックするとすぐ移動できます)
●「発案」 高校二年
●「文章化」 大学二年
●「教育実習で高校生に読んでもらう」 大学四年
●「親から逃げる」 卒業直後
●「投稿」 失踪中
●「推敲推敲推敲」 失踪中
●「『ドラゴンゲート』小説コース入学」 失踪中
●「HPにアップ」 失踪中
●「出版」 完成

  「発案」 高校二年
 基本的な骨格はこのときに完成。ただ、内容的に暗い話であるため「文章化しても誰にも読まれない」と、文章化せず物語を温める。また「『暗く美しい物語』なら好まれるはず」との結論に達するが、その物語に相応しい「美しい」というイメージが見つからない。これ以降、常に探し続ける。また、この時には、まだ小説を書いたことはない。ただ根拠のない「書けるはずだ!」という強い思い込みのみあった。「死んでも書かなくてはならない!」とも思っていた。

「文章化」 大学二年
 買い物に行った新宿の「ロフト」で偶然オルゴール売り場を通った時にひらめく。「これだ!あの暗い物語をつつみ込む美しいイメージとして最適だ!登場人物も美少年で行こう!」と。約三日で文章化。書き終わってしばらく、魂が抜けたようになり、数回車にひかれそうになる。
 その後、日本大学文理学部小説研究会同人誌「上水文学」No17(1994年6月1日発行)「オルゴールの習作」として発表。上水文学賞大賞(その同人誌の中で一番いい作品を決める)をもらう。赤字にしたのは後輩に『小研宣伝してくださいよ』とせがまれたためです(笑)。個人的な話ですみません(笑)。
 これ以降、多くの友人、知り合いなどに読ませ「暗く美しい作品」として成功していることを確認する。読ませたほとんどの人間が感動する。ほとんどの人間が最後まで読んでくれる。大学生女一人が感動して泣いた。国文学科の紅野謙介教授には「この同人誌の中では一番上手い」と言われる。ただ、一人の友人には「お前の書いた小説は二度と読みたくない!」とたたき返される。また、この当時から大人(三十代以上の人たち)には評判が悪かった。ただし、中高生向きとして書いていたため、ほとんど気にならなかった。こうして多くの人に読んでもらった感想やアドバイスを参考に推敲に推敲を重ねる。
<作品の状態>
 原稿用紙三十枚程度・題名「オルゴール」

「教育実習で高校生に読んでもらう」 大学四年
 このテーマを扱うに当たって、一番ネックだったのが「当事者(中高生)がどういう反応を示すか」という所であり、大学生である自分には確認する手段がなかった。そのため「教育実習で高校生達に読んでもらえばいい」とひらめく。「当事者達に受け入れられなければこのようなテーマを書く資格はない」と思っていた。
 実際読ませてみたところ(細かく字の詰まったコピーを自分の受け持ちの二クラスの中で仲が良くなった生徒に『お前が感動しなかったら他の奴には読ませるな』と言って渡す)二週間という短い実習期間中にほとんどの生徒が読み、多くの感想をもらう。この時に女生徒一人男子生徒一人が感動して泣いてくれる。このため「自分にはこのテーマを扱う資格がある。小説家になろう」と決意する。
<作品の状態>
 原稿用紙百数枚・題名「オルゴール」

「親から逃げる」 卒業直後
 父が「小説家になる」ということに猛反対。友人とお金を出し合いアパートを借りることに決め、卒業と同時に引っ越す。親から逃げることで「ここまでしたからには絶対この小説を世の中に発表しなくてはならない」と、自分を追い詰める意味もあった。一生家族に会わない覚悟を決める(出版が決まるとは限らないため。一生かかっても出版を決めるつもりだった)。その後、偽名で肉体労働などのアルバイトを転々としながら推敲を続ける。

「投稿」 失踪中
 友人の紹介で遠藤周作先生の一番弟子の作家、加藤宗哉先生(現在は『三田文学編集長』)に読んでもらう。「この作品だけじゃ分からないから、他の作品も見せてみなさい。この作品に合った雑誌は『文学界』だろう」などと言われる。
「文学界新人賞」に応募。落。
「開高健賞」に応募。落。
「偕成社」に持ち込む。落。
 持ち込み前に詩人北沢真人さんに読んでもらう。

「推敲推敲推敲」 失踪中
 その言葉通り(笑)。一時は原稿用紙二百枚以上にまでに増える。しかし、小説の構造自体が壊れそうになったため、また百数枚まで削る。投稿する前、投稿して落されるたび推敲する。発案から出版までの十年間、ワープロやPCに向かっていない時も常に頭の中で「オルゴール」を推敲していた。

「『ドラゴンゲート』小説コース入学」 失踪中
「オルゴール」の推敲に役に立つかもしれないと入学してみる。結果。卒業制作として小説を一本書いた。ネット上に知人が増えた。残念ながら「オルゴール」を推敲するために役に立つことはほとんど得られなかった。

「HPにアップ」 失踪中
 ほぼ物語が固まった所でHPにアップする。多くの感想をもらう。
<作品の状態>
 原稿用紙百数枚・題名「カツミ」
(教育実習の時に『オルゴール』を親や家族に読んでもらっているため『オルゴール』という題名を使ってしまうと、親にばれてしまう可能性があった。そのため『オルゴール』という題名は使えなかった)

「出版」 完成
 出版を決める。五年ぶりに実家に連絡をとる。HPでも題名を「オルゴール」に戻す。著者校正にて原稿用紙数枚追加。完成。
<作品の状態>
 原稿用紙百数枚・題名「オルゴール」
(『カツミ』の題名を『オルゴール』に戻し、文章の細かい所を変え、原稿用紙数枚分追加しただけ。HPにアップしているのは『カツミ』を『オルゴール』に直しただけの物です)


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